REPORT |flowers| ダンスパフォーマンス PARADISE@美容室

|flowers| ダンスパフォーマンス PARADISE

UPDATE 2012/02/29

REPORT                             2012.1.27 | flowers | ダンスパフォーマンス「 PARADISE 」@ 美容室

吉本由美/Yumi Yoshimoto[ダンス・構成・演出]
國府田典明/Noriaki Coda[音]
布施綾子/Ayako Fuse[美術]
津田三朗/Mitsuo Tsuda[美術]
モコメシ/mocomeshi[食べもの]
阿部康子/Yasuko Abe[照明]
協力 boy Attic

 

吉本由美さんはパフォーマンス・グループ|flowers|を立ち上げ、自らのダンスを主軸に振付・演出を手がけるアーティスト。「PARADISE」は彼女が他ジャンルのアーティスト、様々な場所とのコラボレーションを行うプロジェクトである。

わたしが「PARADISE」を初めて見たのは、2011年5月の根本造船所でだった。


夜の造船所というロケーションに設置された赤いテントが上空に向かってブワリとはずされ外に放りだされたとき、暗い海とその向こうに光る工場をバックに踊る吉本さんの動きと表情、鳴っている音楽は様々な現象や感情やダークサイドも内包しつつ、ポジティブで懐の深い未来に導いてくれる光のように思えた。

あらゆるもの同士のコラボレーションから生まれるパフォーマンスの可能性。

優しさをまとって銀河を旅するような姿が美しいと思った。

 

吉本さんが自身のプロジェクト「PARADISE」を通して「空間と存在」を探るシリーズ5作目のステージとして今回選んだのは、ダンスの舞台としてはおよそ想像のつかない「美容室」という場所。

 

美容室「boy」が新しく代官山にオープンさせた店舗「boy attic」とのコラボレーション。

美容室でダンス、考えただけでわくわくする!

 

 

はじまり、はじまり

音楽家、国府田典明さんがシャンプー台でチャプチャプ、バシャバシャとやる水の音が聞こえる。

伸びるチューブ。ブクブクという音。

吉本さんがでてくる。

国府田さんはまるでそこに誰もいないかのようにしてる。

 

そんな国府田さんを吉本さんが真似をしたり追いかけたりする。

相手の行動を受けて、リアクションをとる。

普段わたしたちはいかにも複雑なやりとりをしているけれど、

降り積もったものを払えば、ほぼ全部こういう図じゃないか。

 

ステージに対し垂直に位置する二階への階段も使い、

縦の動線によって、そんな一対一対応が立体的なものになってる。

 

国府田さんが麺を食べるのを見て、吉本さんも麺を食べる。

「食べる」という現実的な行為がダンスの要素になっている。

今回の【食べもの】を担当されたモコメシの小沢さんはパンフレットの中で

「身体はその食事からしか作られない」と書いていた。

「身体に入った食べた物はエネルギーになり、発散され、共有される」とも。

髪の毛を耳にかけながら食べる白い麺は、次第に黒い麺になる。

 

ハンガーにぶら下がっていた髪の毛のドレスはさまざまな毛質の束でできている。

匂いを嗅いで、繋がる記憶。

自分を取り戻したり、他の誰かがいるということに安心したり。

だけど、匂いによって本質がわからなくなったりもする。

匂いだけじゃなくて、外からのさまざまな影響を受けるたびに心のどこかで浮かび上がる。

「自分って一体なんだろう?」

ドレスをゆっくりと身につける。

複数の人間のパーツを身にまといながら、かえって人間離れした感じもするその造形。

大きくふくらんだ影が壁にうつる。

 

 

無意識であった何かが表にでてきたようだ。

この中に、いらだちも、悲しみも、喜びも、おかしみも存在している。

さっきまでの軽快さが遠のき、混沌とした部屋でもがいているように見える。

何度も髪の毛のドレスを嗅ぐ姿は、まるで自分自身を取り戻そうとしているかのようだ。

 

さっきから時計のような心音のような音が聞こえる。

追い立てられるようで、何だかドキドキする。

今ここにいる全員、空気の変化を共有しているんだろうな。
そして、手に入れたのは…

 

「それ」は自分自身で見つけるしかないんだろうと思う。

もしかしたら、ずっとそこにあったのかもしれない。

自分とこの世界をつなぎとめる、あたたかいもの。

「だれかとシェアするのも悪くないんじゃない?」

というように、天井から下がった髪の毛の束でできたロープのようなものがする、するとユーモラスに降りてくる!

吉本さんはそれに自分の髪を結びつけ、お客さんの方にやってくる。

一生懸命みんなの髪の毛をゴムでつないで行く姿を見て、みんな笑顔になってしまう。

髪の毛が短い人の場合はマフラーにも結びつけてしまう!

 

 

「髪の毛」という人間の不思議なパーツ。

「髪の毛」は物語の進行とともにイメージを拡大していき、わたしの中に入り込んできた。

そして混沌を乗り越えた、説得力あるポジティブなメッセージを与えてくれた。

自由さとやさしさにあふれ、何ものにもかえがたい精神的なパフォーマンスに思えた。

きっと吉本さんにしかできないんじゃないかな。

 

 

それと彼女のすごいところは、ダンスで「こんな世界があったらいいな」と思わせるところ。「PARADISE」ってそういうことか…!

(文章:INGEL 写真:RINO)

 

 

 
 
 
 
吉本由美 / Yumi Yoshimoto

 

1995年パフォーマンスグループ|flowers|を立ち上げ、自ら踊るダンスを軸に、演出、振付等の活動を行っている。発表の場は既成の劇場に限らず、ギャラリー、廃墟、ガレージなど、心惹かれた場所を選びステージにしている。

2000年より「PARADISE」と名付けたパフォーマンスを継続し、他ジャンルのアーティストとコラボレーションを重ねている。 原美術館、根本造船所、アーツ千代田3331等で発表。 2011年は、5月に二度目の根本造船所公演、8月に「船上のあなたと、船上のかなた」と題したアート クルーズ(船上) パフォーマンスをアーティスト石山和広と開催。

 

Blog http://blogs.yahoo.co.jp/fl_yumiyoshimoto

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