吉本由美 |flowers| インタビュー

吉本由美 |flowers| インタビュー

INTERVIEW                           2012.8.9

吉本 由美  パフォーマンスグループ |flowers| パフォーマー

パフォーマンス・グループ|flowers|を立ち上げ、自らのダンスを主軸に振付・演出を手がける 吉本由美。ギャラリー、造船所、美容室等、そのとき心惹かれる場所を舞台に、他ジャンルのアーティストとのコラボレーションを重ねるパフォーマンスシリーズ「PARADISE」について、今月31日から3日間にわたり行われる次回公演について、お話をうかがいました!

「PARADISE」

INGEL 2000年から続けているパフォーマンスシリーズ「PARADISE」はどういうものですか?

Yumi  パフォーマンスの中にはいつもいろいろなものを混在させて詰め込む。言ってみれば人生の縮図のようなイメージではあるんだけど、それを「人生」と言うので はなく、いいことも悪いこともひっくるめて「PARADISE(楽園)」としようと思ったの。|flowers|流の表現のしかたを味わってもらえればい いな。「PARADISE」ではいろいろな空間にインスパイアされて作品を作ってる。作り上げた世界に最後の重要な要素、「存在」の代表として自分を置く。一番最後に自分の即興で|flowers|の「空間と存在」を完成させるの。「さあ、ここで何を踊ろう」って。

INGEL 由美さんが舞台に選ぶ「空間」は、いつもちょっと変わってますね。わたしが初めて「PARADISE」を見たのは川崎の根本造船所でした。クレーンを使った大がかりな公演でしたね。

Yumi あの作品は、テントに閉ざされた世界に自分たちがいて、それが外されるとものすごく大きな世界を体験することになる…というイメージ。最終的にわたしがみんなの代表になって一番向こうの先端に一人で行く。

INGEL 公演の直前にあった震災のことをどこかで意識したりしましたか?

Yumi アイデアそのものは地震のある前から考えていたことで、特別何も変えてない。ただ、大変なことが起きてしまった時期で、その感覚は図らずも入ってしまう部分があったし、お客さんもお客さん自身の捉え方で納得してくれることになったのかもしれないな。

INGEL あの頃ずっとモヤモヤしてたんですが、あのカーテンが外されて外に放り出された瞬間、全部越えてしまったと思ったんです。「ああ、宇宙だ」って。

Yumi 実は、造船所でやると必ずそうなってくるの。「海」で「波打ち際」と言うことが「潮汐」を連想させる。それは月の力と関係があるものであって、ダイレクトに宇宙なんだよね。

 

2011年5月 | flowers | dance performance PARADISE@根本造船所
「出会い、コラボレーション」

INGEL  確かに…。スケールの大きさとしては対照的な美容室「boy」での公演も面白かったです。親密な空間で、具体的なストーリーのようなものも感じました。髪 の毛をめぐるイメージから発展した印象的なシーンがいくつもありました。そう、パフォーマンスの中で麺を食べていることに驚いた!

Yumi  実は死にものぐるいで食べてたんだよ。笑 すごくコシがあって太いの。フードコーディネーターのモコメシさんの手作りでね。そう、ある昼下がりに 「boy」の表の扉を開け放して髪の毛を切ってもらってたら、偶然通りがかった彼女を美容師のあやさんが呼び止めたのが出会い。そのとき彼女が持っていた ブックを見せてもらったんだけど、それがとってもきれいで、エロティックで。すぐに「彼女と何かやりたい!」と思ったの。それから、モコメシさんの旦那さ んの国府田さんが音楽をやってくれることになったり。いい出会い。

INGEL ぴったりの人がやってきますね。

Yumi  場所や人との出会いって必ず足下繋がりで、自分の嗅覚を頼りにしたほうが確実に面白い。長年やってるから失敗もいっぱいしてて…。わたしの場合、遠く手の 届かないようなものばかり見ていると、調子が崩れるの。でも、健やかなときは必ず次の予兆がその中に入ってる。それって絶対確かなものなんだよね。だか ら、そのとき目の前にあらわれてくれるプレゼントを美味しく頂こうと思ってる。笑

2012年1月 | flowers | dance performance PARADISE@美容室
「瞬間と永遠」

INGEL 今回「PARADISE」の舞台として、写真館を選んだ理由は?

Yumi もとから写真館を探していたわけじゃないの。友達のフォトグラファーが「知り合いが写真館を開いたからそこを借りて、ポートレートを撮ろう」と言ってくれて、初めて今回の場所に行ったのね。で、撮ってもらいながら「あれ?」と思ったの。「あ、そういうことかな」って。

INGEL ピンと来たんだ。

Yumi  うん。それで、どんなものを作ろうかなと思ったときに、ずっと忘れていた「瞬間と永遠」という言葉を思い出した。長野の田舎の家のそばにお寺があって、 隅っこのほうに大好きな古い狛犬があるのね。いつも一人で見に行くんだけど。ある寒い季節、その場所にあるイチョウの木をふと見上げたんだよね。そしたら 「瞬間と永遠」という言葉が浮かんで。ものすごく晴れた青空がどこまでも遠く抜けていて、手前にある葉っぱの落ちた大きな木が白っぽくて、ストップモー ションに見えた。風もなくて、音も聞こえなくて。見上げたイチョウの木が「瞬間」に見えて、どこまでも続く空が「永遠」に見えたのかもしれない。そのあと ずっと忘れてしまっていたんだけど、ちょうど今回その言葉を思い出したの。

INGEL すごく素敵です。

Yumi パラパラ漫画みたいに、今の瞬間が全部繋がって「時間」というものがあって。その遥か向こう、ツーッと見渡していったときに永遠が見えるような、そんな気分。写真もそうでしょう?「瞬間と永遠」。というわけで、今回はその言葉から作っていってる。

INGEL どんな作品になりそうですか?

Yumi 今回詰め込みたい要素は「美」と「奇想的な暴露」と「情緒的な重み」。スーザン・ソンタグの「写真論」を読んでいて出てきた言葉。これに「ユーモア」を加えると|flowers|流になると思ってる。

「コンテンポラリー」

INGEL ところで、ダンスを始めたのはいつ頃ですか?

Yumi 幼 稚園のときにピアノとバレエを習い始めたんだけど、ピアノの日になるとイヤで熱が出る。笑 バレエの日に熱が出なかったから、何となくこっちのほうが好き だったんだろうね。週一回の田舎のバレエ教室を中三まで続けて。それから大学二年のときにジャズダンスを始めたの。それから普通のジャズダンサーになって ミュージカルに出たり、コンサートや紅白とかレコード大賞とかのバックダンサーをやったり。そういうダンスを10年くらい一生懸命やってたね。その頃の ジャズダンスって「いい女風」が多くて、こう胸にパッドをたくさん詰めてさ。でも、あるときハッとして「違う!わたしのおっぱいは、こんなおっぱいじゃな い!」って思ったの。笑

INGEL 笑 いい女風って、ミュージカルの「シカゴ」みたいな?

Yumi そう!まさにあれ。同じ頃、偶然あるフランス人ダンサーの来日公演があって観に行ったんだけど、当時コンテンポラリーという言葉すら知らなかったわたしにとって、衝撃だったのね。こんな世界があったんだ!と思って。

INGEL それは何歳くらいのとき?

Yumi  25~27歳くらいかな…。コンテンポラリーという言葉がまだ浸透してなかった時代。その後、フランスに一ヶ月くらい遊びに行ったときに、コンテンポラ リーの教室ばかりが入っているビルを偶然見つけて。嬉しくて、朝から晩までいてね。全部回ったんだけど、それぞれやってることもメソッドも全然違う。朝 習った先生に言われたことを夜の先生のときに全然活かせない。それで「ああ、コンテンポラリーって、その人の得意なものを自由にやって行けばいいのか!」 と思ったの。じゃあ、これがいいなって。

INGEL 踊るときはどんなことを考えてるんですか?

Yumi 本 番中に即興で何かフレーズを編み出したとするでしょ。このフレーズはあと何回繰り返したら成立するだろう、とかね。それから気持ちのいい気分が出てきたと 思ったら、その気分をみんなにわかるよう体現するにはどうしたらいいかな、とか。でも人間だから考えてる部分以外でこぼれちゃうものがある。多分それがそ の人の魅力になるので、それを期待しているところもある。そう、偶然出ちゃうものがある人でいたいな。

INGEL 次回はそれに注目して見てみます!


「ダンス教室のようなもの」

INGEL 最近由美さんは「ダンス教室のようなもの」というワークショップを始めましたね。いわゆるダンス教室ではないということ?

Yumi そう、踊りを一から教えるのはわたしっぽくないなと思ってたので、より自由な感覚を大事にしたくて「のようなもの」としたのね。自由に、その人ならではの踊りを踊る準備として、からだの内側を探険していくような体操をじっくりやったりしてるよ。もともとは、ヒーリングをやっている奥村育子さんと一緒に何かやりたいなと思ったのがきっかけ。彼女が来てくれるときはゴージャスな瞑想の時間があったりね。

INGEL へえ。他にはどんなことをしてるんですか?

Yumi 最 近凝ってるのは、簡単な決めごとだけをしてその人だけの踊りを作っていくもの。すごく面白いの。この間「ウキウキする感じ」をやろうと言ったら、一人の女 の子がびっくりするくらいのことをやったの。飛んで跳ねて飛んで跳ねて、低くなって転がったり、目が離せなくて。「すごく素敵!今何をやったの?」と聞い たら、「くすぐったい」と思ってみたんだって。そう、よく子供が兄弟とか親にくすぐられて、気が狂うほどになったりするじゃない、あんな感じ。わたしには 思いつかなかったなあって思ってね。見習おうと思ったりするわけ。だから「ダンス教室のようなもの」は自分にとってすごく勉強になる。

INGEL どんな風に発展させて行きたいですか?

Yumi ずっと来てる人も、たまにしか来れない人も、子供も、ダンスをやったことがない人も全員が混ざり合う場所。やっぱり「混在」が好きなのね。その人の踊りを踊る場所になったらいいなと思う。INGELさんも踊りにきてね。

INGEL やったー。もちろん!

 

(文章/写真:iNGEL 公演写真:RINO)

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吉本由美 / Yumi Yoshimoto
1995年パフォーマンスグループ|flowers|を立ち上げ、自ら踊るダンスを軸に、演出、振付等の活動を行っている。
2000年より「PARADISE」と名付けたパフォーマンスを継続し、他ジャンルのアーティストとコラボレーションを重ねている。
原美術館・根本造船所・ヘアーサロンboy attic・丘・図書室・船上などの様々な場所で発表。
場所の持つ要素とテーマとしている「空間と存在」を柱にして創り上げる、強さと美しさと切なさとユーモアが詰まった作品は多くの人を魅了している。

公式サイト http://yumiyoshimoto.net/
ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/fl_yumiyoshimoto

 

↓ 美容室 boy Atticのレポートはこちら ↓

  | flowers | ダンスパフォーマンス「 PARADISE 」@ 美容室 

information

大きな空間と小さな空間を行き来しながら「空間と存在」を探るシリーズ第6作品目。代官山の美容室の次は三鷹の写真館。

| flowers | dance performance PARADISE @ 山猫写真館
一緒にダンスしてきた沢山の場所たち。
・・・・・・・・・・・ 風呂場・ガレージ・造船所・美容室。
今回めぐり会ったのは写真館。
2012年

■ 8月31日|金|

開場 7:30 pm 開演 8:00 pm

■ 9月  1日|土|

開場 6:30 pm 開演 7:00 pm

■ 9月  2日|日|

開場 1:30 pm 開演 2:00 pm (上演時間約1時間)

吉本由美  ダンス

國府田典明 音

モコメシ  食べ物 

 

写真館と出会って、今まで心のすみにあった言葉が
浮上して来た。 ”瞬間と永遠”
一瞬の向こうがわに透けて見えるような気がするのは
永遠なんだろうか。
*
フラワーズのパフォーマンスを何回か観てくれたことのある人は、
まず当日の天気予報を見るらしい。
野外かもしれないから。
その日の気温を確認するらしい。
扇子が必要かもしれないし、ホッカイロが欲しくなるかもしれないから。
舞台となる場所を入念にチェックするらしい。
普通の街角にしっくりとなじんでいる場合が多いから。
そんなわずらわしくも思えるような事たちを彼らは楽しみ、味わってくれるらしい。
はじめての道筋、はじめての場所、そこに集う人々、
そこで繰り広げられるパフォーマンス。
皆がそのパフォーマンスを創り上げる一味。
大丈夫です。
今回は写真館の中が舞台。
季節も夏の終わり。少し暑いくらいかな?
三鷹の山猫写真館、店主の山本さんが
静かに優しく開いている
素敵な場所です。

*未就学児童のご入場はご遠慮下さい。
チケット受付 flowers(フラワーズ)Tel: 080-4156-6910
E-mail: fl_yumiyoshimoto@yahoo.co.jp

会場: 山猫写真館
〒181-0013 東京都三鷹市下連雀6-14-20-1F
tel: 042-257-3256
http://yamaneko-photo.jp/

三鷹、吉祥寺、調布の各駅よりバス。
「連雀通り商店街」バス停より徒歩2分。

三鷹駅からお越しの場合
三鷹駅南口を出て
1番バス乗り場から
「鷹64久我山駅行き」
に乗り、4つ目のバス停
「連雀通り商店街」下車。

吉祥寺駅からお越しの場合
吉祥寺駅南口、丸井吉祥寺店前
3番バス乗り場から
「境92武蔵境駅南口行き」
もしくは8番バス乗り場から
「吉14調布駅北口行き」6つ目の
バス停「連雀通り商店街」下車。

調布駅からお越しの場合
調布駅北口パルコ前、14番バス乗り場
から「吉14吉祥寺駅行き」
「連雀通り商店街」下車。

【注意事項】
1. 荒天・災害時の公演の有無の判断は、当日午後1時までにブログ上でご連絡を致し
ます。 問い合わせ先   http://blogs.yahoo.co.jp/fl_yumiyoshimoto  2. 公演を行
わなかった場合のみ、チケットの払い戻しをいたします。それ以外の払い戻しは致し
かねますのでご了承下さい。  3. 施設内に駐車場はございません。 4. 住宅街ですの
で、行き帰りは近隣にご配慮頂き、通行はお静かに願います。

|flowers| dance performance PARADISE @yamaneko photo studio, mitaka, tokyo
Yumi Yoshimoto (dance, choreography and creative direction)
Noriaki  Coda (sound)
mocomeshi (food)

Friday, August 31 (Open/Start  7:30 pm / 8:00 pm)  Saturday, September 1
(Open/Start  6:30 pm / 7:00 pm) ,Saturday, September 2 (Open/Start  1:30 pm
/ 2:00 pm) , 2012
Tickets 3,500 yen Advance  4,000 yen Door   http://yumiyoshimoto.net
http://blogs.yahoo.co.jp/fl_yumiyoshimoto

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