REPORT「ニューシャンバラデイ∞プリミ恥部な世界」
UPDATE 2012/09/11 19:06
REPORT
2012.8.8 「ニューシャンバラデイ∞プリミ恥部な世界」@ 渋谷 WWW
出演:
プリミ恥部
平岡香純
白井多有
タバタミツル(ギター)
ALTZ(ギター/DJ)
倉持政晴(ギター)
K.E.I.(ベース)
BING a.k.a. TOSHIOKAJIWARA(ジャンクシンセ)
東洋之(シンセ)
スティーヴ エトウ(パーカッション/電子パーカッション)
千住宗臣(ドラム)
トンチ(スティールパン)
中原昌也(ノイズ)
MARUOSA(ノイズ)
長谷川真子(バスーン)
お米(フルート)
エズラ(クラリネット)
成浩一(DJ)
らるふ(口琴)
なしの(コーラス)
東野祥子(ダンス)
G10Z(ダンス)
朝日太一(ダンス)
ケンジルビエン(ダンス)
メガネ(ポールダンス)
Mingo(エアリアル)
アイハラミホ。(ダンス)
rokapenis(VJ)
YAMAT (デコ)
佐藤拓人(デコ)
雪月華(デコ)
アブダビ(バイブス)
アルバート(バイブス)
東山佳永(ダンス)
Aya(ダンス)
ありひるあ(ボイス)
YAMACHANG(レーザー)
河野未彩(アートディレクション)
「ニューシャンバラデイ∞プリミ恥部な世界」へ行ってきた。
これがどういうものか、少々説明すると…
「ニューシャンバラデイ」とはミュージシャンのプリミ恥部(白井剛史)さんがオーガナイズするイベント。
ミュージシャンやダンサー、映像作家、さまざまなアーティストによる即興パフォーマンスの中心で
プリミ恥部さんが【宇宙と人と地球】のチューニングとも言える宇宙マッサージを行い、
その空間にニューシャンバラの出入り口を開けようというもの。 ※シャンバラとは → Wikipedia
そして映画「プリミ恥部な世界」は、プリミ恥部さんが自ら作曲する音楽の世界を、平岡香純監督とともに映像化した作品。大阪の商店街を舞台に、関西アンダーグラウンドシーンで活躍するアーティストが多数出演する。
上映時、音楽/ダンス等の生パフォーマンスが加わることで進化し続ける「愛」と「宇宙」の体感型映画ショー。
映画「プリミ恥部な世界」
この二つが組み合わされたものが「ニューシャンバラデイ∞プリミ恥部な世界」!
今回のイベントでは3D加工を施した「プリミ恥部な世界」が見られるとのこと。フライヤーも3D仕様。期待が高まる。
2012年8月8日。8の続くこの日。
もちろん ∞(無限大)を意識してのことだろう。「8」⇄「∞」。
入場するとこんな素敵な3D眼鏡が渡される。
アートディレクションを担当された河野未彩さん曰く「このメガネも∞(無限大)型なんですよ」
出演者の方々に3Dメガネをかけてもらいました!(※全員ではありません。&自分もちゃっかりいますが)
こちらの画像&上のフライヤー横の出演者リストをご覧頂けるとわかると思いますが、出演者がとても多い!
「今日は『超宇宙』という状態になる時があって、その時は全員が舞台に出るよ」
と開演前にプリミ恥部さんが教えてくれた。
「超宇宙」って?という疑問はさておき、30人越えのメンバーが一体どういうふうに舞台に並ぶんだろう…
会場の渋谷WWWはもともとシネマライズがあった場所で、今は音楽イベントを中心に行っている。
始まってすぐに、元映画館であるWWWがこの「体感型映画ショー」を実現するのに、いかに最適な場所であるかがわかった。
もともとあった座席を取っ払っただけ?にも見える傾斜のある立体的なフロア、高い天井、大きなスクリーン
両サイドの壁と天井にも様々な風景/フラクタクルのような模様/宇宙を思わせる要素を映し込んでいる。
さらにデコレーションされた空間の中をカラフルな光線が飛び交う!サイケデリック&ファンタジー!
もともと「プリミ恥部な世界」は、プリミ恥部さんのアルバムの一つ一つの曲に映像を付け、
それを映画にしよう!というアイデアのもとに生まれた作品なので、シーンごとにテーマとなる音楽がある。
プリミ恥部さんのギターと歌を中心に、さまざまなパフォーマンスが重なって行く。
今日は客席に対してステージを広くとってあり、アーティストたちは何となくフロアの中心を向きつつ、
真ん中をを取り囲むように会場のあちこちに点在している感じ。
広範囲で同時多発的なものが起きている状況に、どこを見ていればいいのか早くもわからなくなってきた。
とりあえず、おもに耳で演奏をとらえつつ、3Dメガネで映画を見て、
ときどき外して周りの映像やネオンカラーのビームを楽しむことにした。
映画「プリミ恥部な世界」の時間の流れは独特だ。
始まりと終わりがないように感じる。
古いものと新しいもの、刺激的なものとごくありふれたもの、戦争と平和
ピュアさと猥雑さが混在する極彩色の渦のなかで、本質的な「愛」について言っている。
難しい言葉ではなく赤ちゃんにもわかる感覚で。それはとても宇宙的な感覚だと思う。
大好きなシーンの一つ、紙芝居屋のおじさんが「天使」の話をする場面。
舞台にダンサーが現れた。口琴のビヨーンという音とスチールパンのアッパーな音。
とぼけた味わいのある紙芝居の画に、バレエのような美しい身体の動きと不思議な音が重なり楽しい。
ストーリーが進むにつれ、パフォーマーがどんどん増えていったので
これからプリミ恥部さんの言っていた「超宇宙」が始まるんだな!と思った。
下のフロアをのぞくと、真ん中の寝台のような場所で宇宙マッサージが始まったもよう。
照明のせいか、マッサージをするプリミ恥部さんそのものが電気を帯びているように見える。
彼を中心に、カオスの中から全員で大きな波を起こすようなエネルギーを感じる。
そして無数に飛び交うネオンカラーの3Dの粒の動きにも目が離せなくなる。
たくさんの細胞が点滅しながら螺旋状に旋回し、脳と胸に飛び込んでくるような感覚。
その場のすべてが上昇と下降を繰り返し、めぐっていく。
どこまでも広がりつづけるグルーヴを全身で浴び、気持ちいいったらない!
「何なの、これ」と真後ろの人が言ったのが聞こえた。心の声が思わず口に出てしまった、という感じ。
確かに何の情報もなく連れて来られたんだとしたらびっくりするかもね…と思い後方を振り返ると、
最上部の左右それぞれ2人のポールダンサーと1人のエアリアルダンサーが。
さっきの声の主らしき人は驚いたような口をしていた。
全身シルバーのアンドロイドのような動きと染色体のような光線、シンセの轟音
自分が今21世紀の渋谷にいるということは、もう忘れていた。
この映画は、全体的にどこか世紀末的な空気が流れている。
主人公二人の「戦争」に対する不安と、その答えをごく短い台詞とシンプルな動きで表しているのがすごい。
実際に体験したことがない「戦争」について思いを馳せていると
残響のなか、ここにいる人々の心音が感じられるような気がして引き戻された。
白井多有(たあり)ちゃんはプリミ恥部さんと平岡香純さんの娘さん。
彼女はまだ小さいけど、いつも自分の出るタイミングを心得ているように見える。
この「光世界」という曲は、プリミ恥部さんが実際に体験したという「光しかない世界」のことを歌っている。
多有ちゃんもプリミ恥部さんもすべてを包み込む天使のような声だ。
再び全てが動き始めると、もう何だか嬉しくなって、わたしも一緒に踊っていた。
作品と自分の距離感がなくなってしまった!
プリミ恥部さんと平岡香純さんの奇跡のようなコラボレーションから生まれた物語に
最高のアーティストたちによる即興=「今」の感覚が加わり、
巨大なエネルギーとなって、この日WWWにどでかい穴をあけたんじゃないだろうか?
早いかもしれないけど、今年一番エキサイティングな体験だったかもしれない!
「プリミ恥部な世界」も「ニューシャンバラデイ」も、まだ体験していない人は是非!
(文章:INGEL 写真:RINO)