犬と串「ウズキちゃん」② FALSETTOS 中尾美羽子の感想

犬と串「ウズキちゃん」② FALSETTOS 中尾美羽子の感想

犬と串「ウズキちゃん」@大隈講堂裏劇研アトリエ 2011.12.17 _____________________________________________________________

犬と串の「ウズキちゃん」を私なりに簡潔に表現すると
「この世の一番痛い部分を低次元フィルタで濾過して集めて
それを全部ぎゅっと抱きしめて明日に向かって思い切り突進していく舞台」です。

小学校5年生の女の子の妄想世界を描いた「ウズキちゃん」は、本当に笑えるすごい舞台だ。
映画とか本とか、いろいろ笑えるものはあるけど演劇でここまで笑ったのは初めてだ。

何が面白いのかというと、まずアニメとかドラマとか女子の妄想とかのポップすぎて
痛い部分が凝縮されている、というかそれでしか構成されていないので、それだけでとりあえず笑える。
漫画の「ギャラクシー銀座」とかの世界が笑えてしょうがない人はその部分だけでも十分満足できると思う。

けど、この舞台がここまで面白くて最高に笑わせてくれるのは
そういうマンガ的な馬鹿馬鹿しさや痛々しさに加えて、
現実世界のもっとも馬鹿馬鹿しくてやイタい部分もところどころに入っているからなのだ。
それは各話のタイトルを見ても分かる。
「赤ちゃんはどこから来るの?」とか「なぜ正社員になれないの?」とか・・
すっごいイタくて、こういうことを並べられるとごめん笑っちゃいけないのかもしれないけど
笑ってしまうんだけど、でも切実・・けど切実だからこそめちゃめちゃ面白い、みたいな。

そういうことが、マンガとか女子の妄想の馬鹿馬鹿しさと一緒に
めちゃ濃い密度で並べられている。
見てる間中、笑う以外に選択肢がない。

人間は「イタい」場面に遭遇すると、たいてい皮肉笑いを浮かべて
プライドを保ったり、バランスを保ったりする。
さも自分がその愚かしさとは無縁なように振る舞う。
けれど、ここまで濃い密度で「イタい」ことを見せつけられると、
自分の暮らしてきた世界って本当になんて狂ってるんだと思って、
もうそこまできたらかっこつけてもしょうがなく、
ただもうひたすらに面白くて腹の底から笑ってしまうのだ。
外側に立って批判するというよりも、こんな変なアニメの「お決まり」が
まかり通る国に住んでいる自分、こんな変なルールがまかりとおる国に住んでる自分も
含めて、全部がひたすら面白くて笑ってしまうのだ。

現実世界の「イタいこと」を笑うのは不謹慎でしょーか。
「ウズキちゃん」を見ても、不思議と不謹慎という感じはしない。
「ウズキちゃん」のメッセージはシンプルで、バカバカしいことも
全部楽しんで笑って明日に向かおうよ!というポジティブで愛のあるものだ。
現に私は、普段はイタい場面に対して皮肉笑いしか浮かべていなかったのに
この日ばかりはそいうことを自分に引き受けて、思い切り笑うことができた。
皮肉な笑みを浮かべて自分と世界を断絶してしまうよりも、
そういう世界も引き受けて、自分も含めて思い切り笑いとばす方が、よほど愛があってクリエイティブだと思いませんか??

そんなわけで是非見てください「ウズキちゃん」。
日本人なら絶対に思い切り笑えるとおもいます。

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中尾美羽子(ミュージシャン FALSETTOS

 

FALSETTOS(ファルセッツ)

中尾美羽子(Vo. Gt) INGEL(Ba) Fumie(Dr) 西井夕紀子(Key)

2006年結成。Raw&RomanticなPUNK ROCK MUSIC!!!!
対立する感情はそのままに、アイディア一つで勝負をかけていくその姿はまさにパンク。突如として異国のメリーゴーランドが目の前に現れたかのような感覚をよびおこすライブパフォーマンスは必見!

【LIVE】2012/12/30(金) @下北沢 THREE!来てね!

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