CMJ 2011 ①
UPDATE 2011/10/31 22:53
毎秋NYで行われる『CMJ MUSIC MARATHON』は、エントリーされた各国のアーティストがNYの約50ヶ所のライブハウスにて4日間24時間演奏を行う一大音楽イベント。
有名アーティストから無名に近いアーティストまで毎年1000以上ものショーが繰り広げられている。その中から注目のアーティストをNYで活動するHARD NIPSのドラマー Emiがレポート!その1
Cerebral Ballzy @Williamsburg Music Hall
まずバンド名からし て、Cerebral Palsy(脳性麻痺)に(男らしい)(タフな)といった意味のBallzyを掛け合わせてしまうところからもイッちゃってるぶりがわかる Cerebral Ballzy!今ブルックリンの最先端をゆく、最もパンクなバンドだ。(今時のヒップなスケーター風の彼らのことを「最もパンク」などと言うと、生粋の 70~80年代パンクファンから反論を受けそうだが…)黒人3人と白人2人による「新世代のハードコア・パンク」と言えるだろう。
メンバーは20代前 半という若さだが演奏力は見事なものだ。古くからの友達同士のドラマー:エイブとベーシスト:メルヴィン、そこにカリフォルニア出身のギタリストのメイソ ンとジェイソンを加え、さらに叩き込むボーカル:オナーのエネルギッシュなパフォーマンスは、男だらけのフロアに怒涛のモッシュピットを巻き起こす。
この日はステージか ら飛び降りて自らモッシュの渦で暴れまくり、ステージ脇の壁に登って叫びまくっていた。そんな彼は演奏後、路上で他のメンバーや友人達とスケボーに励んで いた。”sex, drugs, & rock’n’roll” ならず、”pizza, skateboarding, girls, & punk”といったところか。髪を逆立て、鋲だらけの服を着てドラッグをやったってかっこ良い時代ではない。好きな80sパンクロックも人生も貪欲に楽し み、好きなようにやる、という彼らのスタンスは、2012年以降も要注目の進化したパンクスタイルだろう。
Light Asylum @Public Assembly
スケボーを携えたパンクどもがタクシーに便乗して楽しんでいる頃、隣のライブハウスでは、Light Asylumが暗い光の中でエレクトロサウンドをギュインギュインいわせていた。
ブルーノのイタロ チックなキーボード・サウンドに、シャノンの黒人ボーカル&電子ドラムという、これまたそそられる組み合わせ。このバンドの魅力は何と言ってもシャノンの パワーだろう。エレクトロビートのリズムに合わせて小刻みに揺れる筋肉質なダークボディとパワフルに響く歌声。それを包むようにアンビエントに鳴り響くブ ルーノのシンセ音がそのコントラストを際立たせる。
今日のこの2バンドがそうだったからというわけでもないが、最近、新しいコンセプトでセンスのよさを見せてくれるミュージシャンたちの中で黒人の存在が一際輝いているような。 昔からそうだったかしら?