わたしは自分のバンドの FALSETTOSとしてこのライブに出演したが、主催の二組があまりにもよかった。
まず「うずら」。 彼らは7月に出したCD「万華鏡の世界」録音時のメンバーから編成が変わり、今はあんりとたくろうの二人。あんりの中性的な物憂さ&たくろうの太陽みたい な明るさ。音楽、ビジュアルの面でこれ以上ないバランスに思えた。でもうずらくらい毎回見るたびに進化しているバンドもない。今後また違う局面をむかえた ところで、きっとそのときあんりがやっていることが一番いいに決まっている。一番最初に見たときは重箱の隅をつつくのを好む人々が集まる地下室のような雰 囲気があったけど、今はたくさんの老若男女が楽しめる公園て感じがした。その公園のポイントとしてはいくつも落とし穴があって、もちろん地下室のレイヤー はそのままなのでときどきそこに…。そういう意外とフレンドリーじゃないところが面白い。
ミックスナッツハウスの ギターボーカル、デリシャス王子こと「林漁太」のソロ。王子様のようなファッション&絶妙なMCに「ああ、またおかしな人がいる…」と思った。また追いか けなければならない人が増えた。耳に残る王道ポップなメロディ、くすぐったすぎる歌詞、世界中の貧困を背負ってもなお…な笑顔。ミュージシャンの「コー ル&レスポンス」「手拍子」などの合図に、わたしは同情心や反発心がめばえる日がある。だけどこの日はそんなこと感じる間もなく王子のカラフルな城に放り 込まれ、幸せすぎるパーティータイムを過ごした。彼のパフォーマンスは地獄の番人の心をもひらけると思う。あの場にいた全員甘えん坊のような顔だったん じゃないだろうか…。(INGEL)