マームとジプシー「塩ふる世界。」① @横浜 STスポット 2011.8.18

マームとジプシー「塩ふる世界。」① @横浜 STスポット 2011.8.18

 

マームとジプシー「塩ふる世界。」

音楽家、パフォーマンスグループ「もび」主宰の西井夕紀子さんと行って来ました。

感想を書いてもらいました。

 

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音で連れ戻されること、あります。どんなに時間が経ってもその時と変わらない感覚を音が連れてくること。

 

初めて聞いた台詞が再び現れた時、私も物語の中の人々が共有している事実を自分の中に積み上げ始めました。

誰も見ていないからどうしてもふれられない事実と、それぞれが何をしていたかということで語られる「その時間」についてです。

何 度もそれが訪れて、新しい情報も加えられていきます。それか、私はもっと知りたいと思っていて、もしかしたら一度聞いただけでは分からなかった音を耳がみ つけたのかもしれないけど、そうやって貪欲に何度も何度もその情報に、事情に、さらに深く、と首を突っ込んでいきたくなる、そういう時間が長くあって、演 劇なのに魔法みたいに遠くには飛んでいけないもどかしさで、何かをひたすらに待っているような前半でした。

 

音楽は多分、音楽だけでできていました。

だから少し舞台の上にものがたくさんあり過ぎる気がしたし、そういうやり方で「塩ふる世界」と関係のない外のどこかとつながっていることが、すくいである感じもしました。引っ越した先の街かどこか。

役 者さんが音楽をよりどころにしている時、身体は現実的で、その音楽にとって物語は必要不可欠ではないというか、だってそこは音楽を奏でた人には無関係の世 界だったから、それから、音楽が盛り上がりを見せた後終息を迎えると、舞台の空気もそのように密度をまばらにさせていったので、この身体と、この身体に刻 まれるリズムは、どこに行っちゃうんだろうと、最初は少し心配になったりしていました。

同時に、言葉は言葉のリズムをぎこちなく保っていて、それと音楽、音楽をしみこませた身体の混在の仕方が心地よく感じられる瞬間が何度かありました。

 

あのお芝居を見てから一晩眠って、その後二日間めいっぱい別のことをしてまたその分眠って、一番に思い出したことは何だったかというと、役者さんが床に倒れてしまった後の呼吸でした。

ぐったりとその床に倒れて、すごいスピードで呼吸している背中、横腹、汗や鳥肌、くっきりと思い出されます。あふれてしまっていた、とても現実で、どうしようもないことで、どうしようもなく分からないことを、かなしく思いました。

そ ういう正直な身体の状態を見て気になったのは、最初と同じ台詞を、しまいには泣きながらしゃべっているんだろうか、それとも泣くような声でしゃべっている んだろうか、ということで、観ているとき、何か混乱したような気持ちになり、最後の方はずっとそのことを考えていました。私の隣の人は、本当に泣いていま した。

 

それから、大きな蛇の温度のこと。女の人が何も言わない前に、あのぐっとやる身体を見て全身がひやりとどこかにつながれました。

 

これから長い時間残っていくのは、答えの無い問いかけのことかもしれません。

あの人どうして死んじゃったんだろう。

事実はずいぶん前から聞いていて、何度も知ったはずのに、どうしようもなく理由が分からないこと、そういうことにつなぎとめられたまま生きています。

 

 

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西井夕紀子 プロフィール

 

パフォーマンスグループもび主 宰。演劇やダンスの音楽を作曲したり、演奏したりする。東京国際芸術祭2007にしすがも創造舍演劇上演プロジェクト Vol.4『アトミック・サバイバー ワーニャの子どもたち』、2008年『エコノミック・ファンタスマゴリア』などの阿部初美氏演出作品に曲を提供。 2011年、中野成樹+フランケンズ『ザ・マッチメーカー』でピアノを演奏。FALSETTOSでキーボードを担当。

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